――真田さん、ほら、覚えているでしょう ――あなたの大切なひとですよ 「蓮ニ……?」 柳が目を開けると、そこにいたのは。 「弦一郎……?」
誰よりも会いたいと思っていたひと。
「……それで、どうするんじゃ?」 「どうもしませんよ」 「このまま?」 「このまま」 再会に驚く二人を見下ろし、仁王は眉を顰めました。 「これではあの人間は不幸にはならんよ?」 「いいじゃないッスか。幸せで」 「それがどういうことなんか、お前さんわかっとるんか?」 「わかってますって」 言って赤也はいたずらっぽく笑いました。 「だって俺の願いは神様は聞いてくれないッスから」 だから自分で叶えるしかないっしょ?
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「恋を知ってしまった悪魔、かあ」 「あの子らしいといえばらしいんかの」 幸村はにっこり笑いました。 「じゃあ仁王、じっくりきみの炎で包んであげてね。きみの優しい炎が、あの子の痛みを焼き尽くすまで」
この炎は、また白い翼で飛ぶための 浄化の炎なのだから。
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