――真田さん、ほら、覚えているでしょう
――あなたの大切なひとですよ







「蓮ニ……?」
柳が目を開けると、そこにいたのは。
「弦一郎……?」

誰よりも会いたいと思っていたひと。



















「……それで、どうするんじゃ?」
「どうもしませんよ」
「このまま?」
「このまま」
再会に驚く二人を見下ろし、仁王は眉を顰めました。
「これではあの人間は不幸にはならんよ?」
「いいじゃないッスか。幸せで」
「それがどういうことなんか、お前さんわかっとるんか?」
「わかってますって」
言って赤也はいたずらっぽく笑いました。
「だって俺の願いは神様は聞いてくれないッスから」
だから自分で叶えるしかないっしょ?

 

 

悪魔になれなかった天使の願いは、
だいすきなひとの、本当の笑顔を見ること。






****






「恋を知ってしまった悪魔、かあ」
「あの子らしいといえばらしいんかの」
幸村はにっこり笑いました。
「じゃあ仁王、じっくりきみの炎で包んであげてね。きみの優しい炎が、あの子の痛みを焼き尽くすまで」

 

この炎は、また白い翼で飛ぶための
浄化の炎なのだから。

 

 

 

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