「なら、大丈夫だろ」
俺が言うと、その声は可笑しげに笑った。
「何が可笑しい」
「いえ。ではあなたは、ずっとあの場所にいたいわけですね?」
「ずっとかどうかは分からねえが、今はそうだ」
「傍にいたいから?」
「……」
俺は黙った。実体があるなら即座に殴り飛ばしてやるところだがそうもいかない。
「まあいいでしょう。それが実現されない限り、あなたはこちらの世界に来ることはできない」
「だから問題ねえよ。実現されるなんてありえないからな。俺様はずっと、あっちの世界にいられるわけだ」
「……辛いと思いますよ?」
「何がだ」
「じき、分かります」
「……」
腹立たしいことこの上ないが、仕方がない。舌打ちして目を閉じると、またソイツの笑い声が聞こえたような気がした。
何だって構わない。手段は問わない。
後悔することになっても。