アンコンディショナル

 やがて跡部はゆっくりと手を上げて、くちびるのあたりに触れた。指で優しく撫でるようにして、それから目を閉じると、その指先にキスをした。
 また、泣きたくなった。


触れることのできない跡部の、想いを込めたキス。
映像で思い浮かべたシーンです。
キスシーン大好き。

話を書くときって大抵ラストシーンから思いつきます。この話もそうなんですが、ラストと、狸寝入り宍戸さんと跡部のキスシーン、跡部が宍戸さんの身体でテニスするシーン、それからこのシーンは真っ先に思い浮かべたシーンでした。
一応、この話は形式にかなりこだわって(笑)書いたんですが、それぞれのシーンをどっちの視点にするかということと、話数や形式との兼ね合いで構成がちょっと難しかった気がします。パズルみたいだった。

ちなみに「ぜんぶ、きみだった」は何人かの方に仰っていただいた通り山崎まさよしから。番外編タイトルもです。自分でタイトル考えられるセンスが欲しいところです・・・。一話目が「アンフォゲタブル」だったので、ラストも「un〜」でいこうとは思ってたんですが、その頃ずっと聴きながら書いてた椎名林檎の「アンコンディショナル・ラブ」からもらっちゃいました。あんなイメージで書いてたんだな、と思ってください。「put your arms around me now」、って感じで。

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