柳に触れられると、赤也の心はぎゅうっと苦しくなるのでした。
(柳さんの笑顔はとても綺麗だけれど)
(でも、とても悲しそうだ)
「赤也」
柳の家を見渡せる屋根の上。すっかり赤也の居場所になってしまったそこで真田にもらった帽子をぼんやり見ていた赤也に声をかけたのは、仁王でした。
「仁王さん」
「幸村がの、調子はどうかと聞いてきよったぞ。そろそろ課題を終わらせてね、だそうだ」
「……」
「お前さんが、毎日ターゲットに会いにいっとることは報告しておいた」
「……」
「何をしに行っとるのかは言わんかったけどな」
忘れてはおらんやろうな?と仁王は言いました。
「お前さんがしなければならんのは、あの人間を不幸にすることじゃろう?」
「わかってるッス」
「できなかったらどうなるかも、わかっとるんやろうな?」
「……わかってるッス」
「わかってなかろ」
「わ!」
仁王が呪文を唱えた瞬間、柳にもらったマフラーから炎が上がりました。
「あちっ!」
「どうだ?」
おそるおそる赤也が目をあけると、もうその炎は消えていました。
「お前さんを焼く炎の熱さは、こんなもんやないけえの」
「……」
「俺もできれば、そんなことはしたくないんじゃ」
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